国際地形学会議に参加しました。

会議場の概観 口頭発表する水垣研究員 Upper Bunyip川の上流における自然石護岸
2009年7月6日（月）から7月11日（土）にかけてオーストラリアのメルボルンにおいて7th International Conference on Geomorphology 2009（国際地形学会議）が開催され、当研究所から吉井厚志研究調整監（前寒地水圏研究グループ長）、寒地河川チームから村上泰啓主任研究員、水環境保全チームから水垣滋研究員が参加し、研究発表を行いましたので、報告します。 会議は、この４月に完成したばかりというメルボルン展示会議場（Melbourne Exhibition & Convention Center）で開催されました。600人以上の参加があり、37のテーマ別セッションが設けられ、460件の口頭発表と395件のポスター発表が行われました。吉井研究調整官はRiver Management（河川管理）セッションで「石狩川流域における水辺緩衝空間を利用した洪水氾濫原管理に関する研究」、村上主任研究員はHillslope and Mass Movement（斜面と大規模土砂移動)セッションで「斜面流域における基盤岩地形と河道網分布の特性について」、水垣研究員はLandscape connectivity（景観の連結性）セッションで「Cs-137及び過剰Pb-210を用いた森林流域からの浮遊土砂の生産源推定」と題してそれぞれ発表しました。 また開催期間に現地見学ツアーも行われ、Western Port Rivers:Managing the Legacy of Draining the `Great Swamp`（ウェスタンポートの流入河川：グレートスワンプ干拓跡地の管理）に参加しました。 ツアーで訪れたBunyip川の中流域にあたるところで、花崗岩流域の堆積物によって形成されたかつての洪水段丘が、下刻によって河床し、また、下流のショートカット（直線化）により、侵食が上流へと進行しているとの説明を受けました。現地では河床低下を防ぐために、生態系を考慮した自然石による護岸工が施されているとのことでした。 　研究発表会では国内の学会では得られない、多くの知見に触れることができました。特に、新たな調査・研究手法に関する豊富な情報を得ることができました。現地見学ツアーでは、地形変化の過程と河川工事との関係やその歴史、生態系に配慮した工法など、日本の研究および技術者に突きつけられている課題に対して、多くのヒントが得られたと思います。