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幻のタイワンマスを追って

環境研究室

2005/12/27

 

 

台湾でやったこと

中興大学のロゴ

環境研究室、河川研究室では12/15-12/21の日程で台湾の台中市で開催された「2005 水土保持與農村永續發展研討會」に講師として参加したほか、氷河期に台湾の奥地に陸封されたタイワンマスの生息域の調査に行く機会を得たので報告します。

 

 

National ChungHsing University

 

なぜ台湾? 開発土木研究所では、研究室毎の研究成果を論文数や各種活動を数量化して独自の評価を行っており、点数の高い研究室には翌年、理事長から特別な予算がもらえる、という仕組みがあります。環境研究室ではここ3,4年、この予算を頂く幸運に恵まれました。こうした予算は従来であれば調査・研究費用の一部にしてしまうことが多いのですが、それだけではもったいないと、当時在籍していた中津川室長の発案で、将来の研究協力や人的交流につなげる為にこの予算を使おう、ということになりました。そこで、環境研究室では3年前から、韓国のソウル大学、中国の水利水電科学研究院との共同セミナーを開催し、アジア圏での人的交流を進めてきました。理事長枠予算を頂いた今年12月、台湾の台中市にある中興大学で開催されたシンポジウムに参加し、台湾の研究者と洪水災害についての討議を行ったほか、氷河期に台湾奥地に陸封されたというタイワンマスの生息域に行き、雪覇国家公園武陵管理事務所のスタッフと絶滅が心配されているタイワンマスの保全についてディスカッションしました。

 

環境研究室、河川研究室、北海道立水産孵化場からの参加者

矢部浩規、村上泰啓、渡邊康玄、阿部修也、小林美樹(北海道立水産孵化場)

 

台湾側の主な面会者

国立中興大学水土保持学系:陳樹群教授、修士課程呉亭燁

経済部水利署水利企画試験所:謝天元研究員

行政院農業委員会水土保持局局長 呉輝龍博士

工業技術研究院能源興資源研究所 王文能博士

雪覇国家公園武陵管理所 Lin-yan Liao

台湾寸景

シンポジウム開催前の名刺交換会!日本以上に名刺の交換は盛んな感じです。これも友好的な台湾人気質なのでしょうか?とってもフレンドリーでした。

後列右から、王文能先生、九州大学大村教授、中興大学陳教授と奥様、渡邊室長、前列右から矢部副室長、小生、小林企画室長(北海道立水産孵化場)、阿部主任研究員

左の女性は陳教授のところで勉強している大学院生のTing-Yeh Wuさん。日本語がとても流暢!

郊外にビンロウの木がたくさん植えられていました。このビンロウの実は現地の嗜好品として売られていますが、この木は根が浅いため、土砂崩壊の原因になるとも言われています。

大甲渓中流の松鶴地区の土石流被害状況。昨年、今年と豪雨により土石流が発生し、8名が亡くなったそうです。

松鶴地区の大甲渓の状況。概ね20mくらい河床が上昇したそうです。中央は橋梁だった?もので、鉄筋が露出しているのが見えます。

経済部水利署水利企画試験所の屋根付き屋外試験施設にて。山地での土砂生産の多い現状を反映して、取水施設などへの土砂堆積の影響を除くための実験が多く行われていたほか、近自然工法などへの取り組みも見られました。

雪を頂く台湾の高山(Mt.Bilu 標高3371m

雪覇国家公園武陵管理所内で開催されたディスカッション。この夜、あまりの寒さに出席者全員防寒着着用!それでも寒くて寒くて、、、。外気温は0度近かったと思われます。これが台湾の奥地、標高1800mの威力です!

幻のタイワンマスにご対面!本当にヤマメにそっくりです。

 

武陵管理所のスタッフと。後列右端の男性がこの管理所とタイワンマス孵化事業を束ねるリャオさん。中央のサングラスの男性は北海道大学の清水先生。前列中央の男性はツーさんといい、管理所のドライバー。車中で我々の話すくだらない話を微妙に理解し、笑いこけていました。普通に日本語を解する人が多く、不思議な感じです。

 

タイワンマスは台湾の大甲渓のはるか上流、七家湾渓の清流に生息しています。台湾では砂防ダムを壊して、魚の行き来を保全する試みもされています。

 

雑感

 台湾が北海道の面積の約半分しかないのに、標高4,000mに届きそうな高山があるっていうのを知ったのは、渡航直前でした。真珠湾攻撃開始の暗号として有名な「ニイタカヤマノボレ1208」のニイタカ山は、台湾最高峰の玉山(標高3,952m)のことだそうです。我々が車で通過した峠も3000mを軽く超えており、階段をのぼると空気が薄いせいで息が切れました!遠くの高山の頂にはうっすら雪が積もり、峠の日陰には雪が残っていました。台湾人と思われる観光客が車を止めて雪を嬉しそうに触っていたのが印象的でした。沖縄のさらに南の台湾で雪が見られるとは、不思議な感じです。

 タイワンマスは七家湾渓と呼ばれる川のほんの数kmに生息しているのみで、しかも、30年ほど前に作られた落差10m内外の4つの砂防ダムにより、流れは分断されていました。でも、さすがだな、と感じたのは、この川の支流(高山渓)にあった4つの砂防ダムを壊し、マスが行き来できるようにしたというのです!現在はこの高山渓にも人工孵化したマスの稚魚を放しているそうです。

 タイワンマスの資源保護は増殖事業と河川整備の両輪で進める必要があると思いますが、その責任がリャオさん一人の肩にかかっているかと思うと、ちょっと可愛そうな気がします。マス増殖事業の専門家と河川整備の専門家をこの管理事務所に派遣できるようなスキーム、例えば、水産孵化場と開土研共同で現地に専門家を派遣できるような事ができるとすばらしいですよね。

 宜蘭(Yilan)市から基隆(Keelung)市までの海岸線の道で、ちょっと不思議だったのは、なにか見覚えのある風景だな、ということでした。道南の海岸線、島牧とか寿都のあたりをドライブしているときの風景にすごく似ているのです。植物は全然違うし、南国のはずなのですが、ちょうど曇っていて、海の色も暗かったのでそんな風に見えたのかもしれませんが、なんだか不思議な感覚でした。

 今度もし台湾に行く機会があったら、台中から南の方をめぐってみたいものです。台南料理美味しいらしいし!

 

そもそも、、、

 今回の台湾行きは、一昨年に行った中国の三峡ダムで開催されたシンポジウムで、小生の発表セッションで副座長を務めた陳教授との出会いに発端がありました。そのときに彼が発表したテーマも台湾での豪雨と土砂崩壊に関するもので、お互いにいつか勉強会やろう、ということでその場を別れたのです。20054月1日、小生の転勤がないことを確認?したうえで、陳教授とのコンタクトを開始し、勉強会のタイミングを伺っていたのです。昨年9月、タイワンマス増殖に取り組む武陵管理所のLiaoさんが恵庭の北海道立水産孵化場に研修に来ていた、というあたりから、台湾における土砂崩壊の勉強会とタイワンマス調査の2本立てで行けば、という石田部長の強い勧めもあり、今回の台湾行きが実現したわけです。

 土砂崩壊とタイワンマス、この両者にどういった関連性があるか、疑わしく感じる方もいるかもしれません。でも、年間降水量が2000mmを超え、北海道の半分の面積に標高3000mを超える山がいくつもあるような台湾では、地震や豪雨による土砂崩壊が頻発していて、川の勾配も急なので、山からどんどん土砂(岩)が流れてくるのです。人々の生活を守るために、台湾でも砂防ダムや利水ダムが作られていますが、一方でタイワンマスのような絶滅が危惧される魚もいて、その保護にも台湾では大きな関心を払っているのです。いわゆる二国間での協力関係が結べないという現状では、日本のODA、例えばJICAの専門家スキームも適用が困難です。いまのところは、日台研究者間の人的交流を継続し、台湾の天然記念物であるタイワンマスの増殖事業に少しでも貢献したいと考えています。

 

 

謝辞

 台湾出張にあたっては、環境水工部石田部長、山下室長に快諾頂いた事、企画室、総務課の事務方に出張雑務をサポート頂いた事を記して謝辞とします。

文責 村上

中興大学でのシンポジウムレジメ

 

2005水土保持與農村永續發展研討會

Sustainable Slopeland Management: Soil Conservation and Rural Community Development

 

    間:941217日(六)

    點:中興大學水土保持學系1樓視聽教室

主辦單位:行政院農業委員會   行政院農業委員會水土保持局

中華水土保持學會   國立中興大學

 

 

 

主講人

主持人

0850~0920

報到及分發資料

0920~0930

挨拶

農業委員會水土保持局局長

中華水土保持學會理事長

輝龍 博士

0930~1010

スピ-チ

經濟部

侯和雄次長

中興大學水土保持學系林俐玲主任

1010~1040

スピ-チ

土石流の防災と村の発展(土石流防災與農村發展

中華水土保持學會

吳輝龍理事長

1040~1100

茶敘/交流

1100~1120

2005台風14号による九州地方の斜面災害2005年娜比颱風對日本九州東部造成之坡面災害

九州大學林學科

大村寬教授

中興大學水土保持學系游繁結教授

台灣大學地理環境資源學系姜善鑫教授

1120~1140

豪雨により発生した土砂崩壊と流域内での被災事例と土砂流出特性

豪雨引致土砂崩壞之受災事例分析及其土砂流出特性研究

北海道開發土木研究所

環境研究室

村上泰啓主任研究員

1140~1200

豪雨により発生した流木の流出と橋梁の被災メカニズム

漂流木之流出形態及其對橋樑之受災研究

北海道開發土木研究所

河川研究室

阿部修也主任研究員

1200~1330

午餐及休息

1330~1350

農村永續發展之水土保持建設策略

農業委員會水土保持局

徐森彥組長

台灣大學生工系

黃宏斌教授

屏東科技大學水土保持系黃國禎主任

1350~1410

台灣鄉村景觀風貌之型塑

中興大學園藝學系

歐聖榮教授

1410~1430

各類型農村之永續營造模式

農業委員會水土保持局

祝瑞敏科長

1430~1450

鄉村景觀生態之效益

台灣大學園藝系

張俊彥教授

1450~1510

荼敘/交流

1510~1530

我國農村土地永續發展之法制分析:以規劃體制為中心

台北大學不動產與城鄉環境學系陳明燦教授

屏東科技大學水土保持系謝杉舟教授

農業委員會林業試驗所

陸象豫組長

1530~1550

土石流自主防災社區居民參與之研究

農業委員會水土保持局

黃振全科長

1550~1610

坡地截蓄保水設施對生態農村之輔助效益

中興大學水土保持學系

林昭遠教授

1610~1630

由財產權保障檢討國土復育條例草案之合憲性

農業委員會水土保持局

柯勇全技士

1630~1700

綜合討論

中華水土保持學會吳輝龍理事長

農業委員會水土保持局趙國昭副局長

中興大學水土保持學系鄭皆達教授

 

                 聯絡人:

中興大學水土保持學系 吳俊毅先生 Tel04-22852411 Emaild9442006@mail.nchu.edu.tw

     本研討會免費,歡迎踴躍報名參加

     線上報名網頁:http://gisty.nchu.edu.tw /2005swcb

 

 

 

 

 

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